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相次ぐリストラや内定取り消しで、介護に職を求める人たちが現れ始めた。私が勤める短大の実習施設は他府県にまで求人を出していたが、いまは大阪府内だけで十分だ。人で不足だった現場は助かるが、半面、「失業よりはマシ」というネガティブな選択肢にすぎないかと思うと、複雑な気持ちになる。だが、そうであっても介護に職を求める人たちを歓迎したい。 これまで介護施設が正規雇用の求人を出しても、なかなか人が集まらなかった。原因は何よりも政府が低賃金・過重労働につながる低い介護報酬を定めたためだ。正職員の介護福祉士やヘルパーらでさえ約4割が所定内賃金20万円未満という調査結果もある。その揚げ句、一時的な雇用調整を担わされたのではたまらない。政府にはむしろ、この機に介護の領域での安定した雇用創出施策を求めたい。 バブル経済の影響からか、お金さえあれば生活できるという現実が、お金のためだけに働くという風潮を生むようになった。夢と希望をお金に換算し、国民の支え合いである社会保険料すら引かれることを嫌う傾向が広がりつつある。仕事を通じて「社会の役に立とう」という気持ちはいつしか出番を失い、人とかかわりあいを避けるものも少なくない。社会の支え合いの機能が目に見えて低下し、国民は安心して暮らせる日本を描けないでいる。 だが、介護はこれとは正反対だ。介護はそもそも人々が集う社会に組み込まれていた支え合いの機能である。長い歴史的時間を経て、基本的人権の確立とともに健康保険や年金などが制度化された延長上に介護保険も存在する。高齢社会に突入し、家庭内に潜在化していた介護の機能が社会的に担われる時代を迎えた今、介護は国民の支え合いの仕事としてますます多くの人材を必要としている。 介護の仕事は、入浴や排泄、食事など直接的介護だけではなく、介護が必要な人々の基本的人権と心のきずなを第一に考え、その人生に寄り添う。施設や居宅の限られた空間の中から人と人との結びつきを育て、地域社会に発信する。そう考えると、介護は人間社会の本来の在り方を呼び戻す仕事であるといっても過言ではない。 あらためて、介護に職を求める人たちに伝えたい。誠実に介護と向き合い、働きながらでも介護にかかわる資格を取り、介護を一生の仕事にしてほしい。そして、こうした人々を確かな雇用で支える政策こそ、社会的な支え合いの機能と人と人との結びつきをはぐくむことになるだろう。日本は今こそ、年をとっても障害を持っても安心して暮らせる社会へと大きく舵を切るべき時である。 »介護福祉学科 |
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